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2017年4月12日 (水)

ファイル003 ピープロシリーズ

アーカイブシリーズ第3弾!

ピープロシリーズです。
僕が一番最初に手掛けたのが電人ザボーガー。
井口昇監督がメガホンを取ったリメイク版です。
休止していた怪獣軒が新たにスタートし、シルバー仮面・レッドバロンを経て第4弾として。
僕のソフビ原型としては3作目となります。
この間に、他の方の原型ですがシルバー仮面のタイタン星人が怪獣軒として発売されていたと思います。
2011年6月にレッドバロンをリリース。

さて、次は何をやるか…
レッドバロンは思いの外好評をいただきましたが、発売時期の6月ではなんとかペイラインにのるかな?
というレベルでとても原型代を回収できるほどではない。
むしろ、ペイできたのは塗装を僕が担当したから。
というのが大きい。
そりゃあ、おもちゃを作るわけですからソフビとは言えかなりの経費はかかります。
どうしても職人さんでなければいけない金型と成型というのは固定費となります。
が、塗装は実は頑張ればなんとかなります。
シルバー仮面で全く利益出すというところまで至らなかったためにレッドバロンはほぼ持ち出しで製作されたかと思います。

そのため、当初から僕が塗装をするという条件のもと始まりました。
この辺から塗装を簡略化する方法。
つまり『塗装マスク』が自前で製作できないか?
というのを漠然と考え始めました。

というのは塗装マスクはやっぱりメッキ性の金属製品ですので非常に高価です。
塗装の工程分その金属マスクが必要になるので、塗装が多ければ、複雑であれば公費は格段に上がってしまいます。
正直、金型代よりもかかる場合がほとんどと言っても過言ではありません。
なので、『経費節減』ということではこの『塗装マスク』というところが大きなファクターになります。

さて、そのことも踏まえて
『次回はなにをやるか?』
という話を始めます。

だいたいこの話は怪獣軒とではなく(笑)盟友おおさかさんと激論を交わします。

おおさかさんは『怪獣少女』というアマチュアディーラーというかサークルを主催してました。
出会いはワンフェスでとあるディーラーさんに間借りして同人誌を売っていた僕のところに来たお客さん(?)という感じで、まさかこれまで長く付き合うとは、当たり前だけど思いもよりませんでした。
後日SNSでメッセージのやり取りをするようになり、気がつくと一緒にコミケやワンフェスに参加するという腐れ縁絵と発展していきます(笑

おおさかさんはかなりのソフビ好きなので、僕のような『にわか』よりもはるかに知識と先見性を持っています。
それと、キャラクター販売の采配を非常に気にする僕とは激論になるのは当たり前でした。
『あれがいいんじゃないか?』
『う〜んどうですかねえ…塗装マスクが…』
『じゃああれは?』
『それも無理ですよ』

という話でヒートアップするのが常でした。
というか、未だにそうなんですけど(笑

で、ここでやっとその名が登場するのですが
『ザボーガーが映画でやるでしょ?ザボーガーやろうよ』
とおおさかさん。
『できるわけないじゃないですか!塗装マスクだけで50万とかかりますよ!』
『そうかあ…でもね、いまザボーガーやらないといけないんじゃないか?今しかないよ』

いやそれはわかっている。
わかっているけど、塗装のことを考えると…
他のメーカーさんもヒーローロボットに二の足を踏んでいるのがこの
『塗装』
という大きな壁のせいなんです。
だいたい、レッドバロンだけでも泣きそうに大変だったので、ザボーガーなんてどれだけ塗るんだよ!って(笑

それとは別に、じゃあ何をやるか?って話になると当時怪獣軒がライセンシーとして許諾が降りやすかったのが宣弘社と円谷プロという2社だったので、おのずとできることが
『怪獣』『宇宙人』
になってしまう。
しかしながら『怪獣』『宇宙人』というのは先のソフビブームであればそりゃあ売れたろう、となるが、この時期は虫の息。
タイタン星人も惨敗だった。
というのも事実でした。

そう考えると、やっぱりザボーガーしかないんです。
やるならザボーガー。
レッドバロンも『そこそこ』だったのでとにかく世の中もメーカーも、全てひっくり返るような。
そんなことをしなければ今後も生きていけない。
他の人とは違うことをやらねばいけない!

そう思い、まず自前で塗装マスクをできないか?
と色々と素材を探し始めました。

その中でも使えそうな素材をいくつかピップアップし、テスト塗装をし。
コンプレッサーも買い
『よし!後は本番だ!』
というビジョンが見えて来ました。

『ザボーガーをやりたいので権利交渉してください』
と怪獣軒に伝える。
『え?マスクどれだけかかるかわかる?できるわけないよ!』
『大丈夫です!僕が塗ります!』
『塗るって…本当にやるの?できるの?しらないよ?』
『やります!できます!他ができないことをやらないとダメなんですよ!』
『わかった。俺、本当に知らないから』

と怪獣軒を説得して権利元のキングレコードに、僕としても初めて権利交渉に向かいました。
概ねの話をし、ロイヤリティーやMG(ミニマムギャランティー)をご教授いただき
『わかりました。進めてください』

となり、ついに原型製作へ…
原型自体はさほど難しくもなく、監修をお願いし、修正→監修をクリアしてやっとロウ型へ。

そうして出来上がったのが
『電人ザボーガー2011』

Img_1832_2
ただでさえ塗装箇所が多いのに監修でさらに増え(笑)本当に地獄のような塗装工程を、自家製マスクで。
しかもぶっつけ本番でやりました。
なんどもうまくいかない部分もあって本当に逃げ出したかった。
休憩とかこつけて散歩に出ると本当に発売日まで塗装が終わるのだろうか?
という恐怖に襲われ締め付けられるような思いになりました。
しかし、自分でやる!と決めたことだしもうこの段階でお金がかかってしまっている。
後に引けない。
もうできない、という選択肢がなかった。
とにかくなんどもマスクを調整しながら塗装をしてで、出来上がった時は本当にホッとした。

おかげさまで、最初のロットと2番目のロットでなんとかペイラインに。
なにより、反響がすごかった!
どうやって塗装してるの?
ということを多く聞かれました。
のちに、メディコムトイの社長、赤司さんから聞いたのですが
『これどうやって塗ってるんだろう?って調べたら、え!ハンド塗装なの!って驚きました』
とおっしゃってました。
それくらい、製作した方ならわかると思いますが、奇跡の商品化でした。
もちろん、この時は仕事を複数抱えていた僕は、本当に睡眠時間がなく、血圧が考えられないくらいまで上がってしまった。
という危険な状況でもありました。
今考えると、いつも熱っぽくポーっとしている感じで、ちょっとしたことでブチギレたり(笑)結構危険だったなあ…と。

でも、そこまでしても全てをひっくり返さなければ生きていけない!と思っていたのです。
そして、評価も高くいただき今後に大きな影響を与える作品となりました。
もちろん、今作れ!と言われた頑なに拒否します!(笑

おそらく、これが最初で最後の商品化です。
これが2011年、12月の出来事でした。

さて、ここからソフビ作れんじゃね?
ということでおおさかさん主催の『怪獣少女』で『当日版権』というシステムを使いソフビ製作を始めます。
初めは次の機会にお話ししますが、今回はピープロ編ということもあって
『怪獣少女第2作』
となる
『鉄人タイガーセブン』
です。
ここでは色々新しい環境で製作してます。
まず、怪獣軒とは別の金型屋さんにお願いしました。
ロウが違うのでちょっと困惑しましたが、だいぶ慣れてきて格段に技術も上がって来たと思います。

『当日版権』というのは『ワンダーフェスティバル開催中の1日だけ販売して良いですよ』という特殊な許諾システムです。
おもちゃというのは漫画と違って『元の作品のイメージを損ないかねない』という側面を持っていて、また高価であり場合によっては大量生産もできてしまう。
だからこそしっかりと版権元の監修を受け、1日だけ、作品を盛り上げてもらうためにも寛大に許していただけるシステムです。

そういう意味でも、先にザボーガーで書いたように『MG』という最低責任販売個数という縛りがなくできるイベント用版権許諾システムなので、ある程度売れないものも製作できるわけです。
まだソフビブームというには程遠かったので売れる目算がないものは当日版権でやりましょう!
とおおさかさんと意見が一致。
じゃあ何やるの?といったら
『タイガーセブンやったら本望だなあ』
というおおさかさんの意見を汲みタイガーセブンを製作。

Img_1828

2012年夏にタイガーセブン
2013年夏に犬原人
2014年冬に鼠原人
とタイガーセブンシリーズをリリース。
タイガーセブンはファイトグローブ版もリリース。

Fight5

革を裁縫で縫いつけました。
鼠原人は販売時、60年ぶりの大雪で大変な思いをした思い出があります。
この流れを見る通り、ソフビ製作も慣れて来て鼠原人を絶頂期にリアル志向が加速度に増しているのが見て取れます。
この鼠原人ともう1体、この2体はレトロとしては極限にリアル寄せした到達点だな、と今でも思います。
今取り出しても我ながら惚れ惚れする仕上がりだと思います。

怪獣少女のピープロシリーズはここで終了します。
本当はもっとやりたかった部分もあるのですが、やっぱりあの大雪で色々と体感的に変わってしまった。
というのが僕たちの中にありました。

と言っても、怪獣少女はまだまだ挑戦を続けて行ったというのは後年、僕が会社を立ち上げるに至っても前向きな姿勢は引き継がれていると思います。

さて、ここで大きな転換期を迎えます。
メディコムトイでの仕事をいただく、という出来事がありました。

2012年秋頃に前回のブログでも触れたメディコムトイの社長・赤司さんと初めてお会いし、そのまま初めてのお仕事の依頼が来ます。
それはソフビの台紙とヘッダーを描くという絵の仕事でした。
この仕事が終了した時に

『原型をお願いできませんか?』

というお話をいただく。
それがなんと…
パイロット版スペクトルマン!(笑
え!ほんとに?
と思ったんですが、なんとも面白いチャレンジだったのでもちろん二つ返事でお受けしました。
しかも僕が製作するのは頭とボディーで手足を当時のマスダヤのスペクトルマンを流用するとう。
『かっこよく作らなくていいんですか?』
『いや、あのマスダヤの感じがいいんです』
ということで2013年4月にハイパーホビーにて大々的に発表されました!

Img_1833_2
実は初めての仕事、というのとは別にすごく気に入っている作品です。
なんか、すごくかわいいじゃないですか(笑
楽しい仕事だったし、気に入った先品にもなったしでこれがターニングポイントになった作品というのも実に僕らしいかな?って(笑

ということで、今回も敵キャラがいるのでイメージ画像でお別れします。
次回のアーカイブシリーズは『サンダーマスク』の予定です!

Img_1831

Img_1830

タイガーセブンは役者さんの南條さんにサインをいただきました!

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