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2017年4月30日 (日)

ファイル004 サンダーマスク

忘れられないようにアーカイブしていこうというこのシリーズ。
第4回を迎えました。

第4回はワンフェス当日版権で頒布した『サンダーマスク』です。
この作品を頒布したのは2012年の2月。
前年年末にザボーガーを製作してからすぐの製作でした。
単に当日版権と言ってもソフビというのは監修が終わってからワックス転換、金型、そして成型、塗装というかなりハードなスケジュールになります。

だいたい、ワンフェスというのは年末年始やお盆のすぐ後くらいなので(笑)工場がお休みになってしまうんですね。
そういう面から見ても本当にソフビ完成品を当日版権で頒布するというのはハードルが高いです。
大量生産を考えて塗装マスクを製作…
ということになるとプラス3週間ということにとても間に合わない。

なので、ワンフェスで当日版権のソフビが頒布される状況って本当に大変なことなんです。
ほとんどのディーラーさんは自分で塗装されてます。

で、このサンダーマスク。
どういう経緯で製作されたかと言いますと、怪獣軒である程度のノウハウができた(と言っても3つしか作ってないんですけ)ということもあり、怪獣少女のおおさかさんも夢であった

『自ディーラーでのソフビ』

というもを作りたい。
という話になるのは当然という話です。
ソフビファンなら絶対作りたいですよね、自分のソフビ。

で、そうなると何やるの?
というところで当時おおさかさんが非常に入れ込んでいたのが

『サンダーマスク』

このときまだ封印作品とかでピックアップされる直前くらいで、僕自身も『シンナーマン』とか『流星鉄仮面』とかのエピソードがかなり好きなので二つ返事オッケーで製作に入りました。

ただ問題なのが『特撮』でのサンダーマスクというのは権利元が手塚プロなのか創通なのかという判断をワンフェス実行委員会に、そこから版元さんに確認いただかないといけません。
でも、おおさかさんとしては特撮のサンダーマスクが欲しかったし、それは僕も一緒。

というので、ここは賭けに出よう!
と。
権利元からの監修結果が出るのが12月と考えて、そのその段階で原型は完成しているわけだし『NO』が出たら諦めよう!
と腹をくくり、こっそり…
では無いんですけど(笑)一か八かで特撮版のサンダーマスクの原型写真で監修に臨みました!

なんと、手塚プロでオッケーが出てしまい(笑
きっと最初で最後なのかもしれませんね(笑
のちに手塚プロさんにお伺いした時に当日版権については非常に緩く監修しておりますとおっしゃっていて、これが一般流通では絶対にありえない話ですね。
たぶん、もう許諾は厳しいと思いますのでみなさんは真似しないように!(笑

という話は置いといて(笑

さて、サンダーマスクが許諾出たよ!
というのがすでに12月中旬。
まだ当時は工場も空いていて金型が2〜3週間くらいでできました。
成型と塗装を考えると1月中旬に金型入りがデッドラインとなりました。

しかし…
また別の機会でもお話ししますが、初めてワックスの壁に当たりここからが大変なことになりました。
温度調節がうまくいかず、ワックス転換が泡だらけになったのです。
ワックスは作業温度が高すぎても低すぎても気泡や泡ができてしまい、のちにわかったことですが、冷ます時間によって激しく変形してしまうんです。
変形に関してはワックス自体が液体と固体の質量が激しく変わるためです。

4体目にしてワックスから手痛い仕打ちをうけることっとなりました。
とにかく、何度やっても泡ができてしまう。
ワックス転換は非常に時間をかけて流し込みます。

シリコンを温める。
ワックスを溶かす。
適温まで冷めるのを待つ。
効果に半日待つ

というように9時間近くかけて転換します。
つまり一度の失敗は半日のロスが出るわけです。
数回目の転換でもう如何にもこうにも時間がなくなってしまったので、とにかく泡の無くなるところまでワックスを削り落とすという方法に出ました。

しかしこれが…
激しく原型をとどめない形になってしまい、さらに泡が消え切らない。
その泡をワックスペンで激しく溶かし全く元の原型と違うものになってしまった!

しかし時間から考えてももう無理だ…と。
仕方がないのでこの状態で、型入れからの作業を怪獣軒にお任せしていたので

『これで…』

と怪獣軒にわたした…

いままで、シルバーからザボーガーまで
『あべさんすごいよねえ〜』
と言っていた怪獣軒が初めて黙った。
言葉が出なかったようだ。
それもそうだ。
もうひょうたんのようなボディになってしまっているのだ。
しかも、これも次回の話と連動するが年末年始でワックスが足りず、工場に発注しても年明けになっちゃうよ、と言われていた。
同時進行してロウ転換の終わっていたマッハバロンのワックスを溶かしてサンダーマスクに当てていた。

そんなしんどい思いをして作った炉ワックスがこの出来で…

『本当にこれでいいの?』
という怪獣軒
『いや、ダメです…』
とオレ。
『どうせ作るなら納得いくもの作らないとダメだよ。まだ間に合うからもう一度やり直したら?』

と言われ、時間との対決という逃れられない事実とは裏腹に
『救われた』
とも思った。
何せ、一生後悔するのは目に見えていた。
でも、時間は待ってくれない。

そこから、急いでロウ転換をやり直した!
また泡が出てしまったが、いやいやもう削らずに気泡を潰してもう一度ロウ原型を作るつもりでやろう!
と気持ちを切り替えた。
これが今後ラフ原型からロウで修正をするという荒技につながっていくわけです(笑

そして、なんと間に合った!
というよりも、思ったより早く上がってきて(笑
ああ、ほんともう工場の方々には感謝だと。

そして出来上がったのがこのサンダーマスクだ!

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今見るともっともっとよくできるなあ…と(笑
まあ、まだ4作目ですから(笑

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でもこのときのスピードを上げて造形するとかワックスの難しさとかそう言ったものがのちに大きく役立っているので
『サンダーマスク〜マッハバロンの失敗』
というのは本当に順調に行きかけているソフビ製作にピリリと厳しいグーパンを食らった大事なキーポイントとなりました。

電人ザボーガーがすべての評価をひっくり返し、サンダーとマッハバロンが見事に地獄に落とし込んでくれました(笑

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そんな、大変辛かったことを思い出させてくれるサンダーマスクでした。

あて、次回のアーカイブシリーズはスーパーロボットマッハバロンです。
初の激しい挫折に悶絶し、その鬱憤を後年晴らす!
というお話なので、重いです(笑

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